諸刃の剣?バイラルマーケティングの表と裏
1 バイラルマーケティングとは
皆さんは「バイラルマーケティング」という言葉をご存じでしょうか?バイラルマーケティングとは、口コミによる宣伝を意図的に広めることで認知度を高め、顧客を獲得するマーケティング手法です。コストを低く抑えることができ、効率的に情報を周知することができるため、近年では多くの企業がこの手法を利用しています。 実際にどのような例があるのでしょうか。それを以下で紹介したいと思います。
2 バイラルマーケティングの実例
例えば、Twitterなどでは「このアカウントをフォローし、リツイートした方の中から抽選で○名様に商品券○円分プレゼント!」というような呟きが流れてくることがあります(「アカウントをフォローする」とはその人のツイート(投稿された文のこと)が必ず自分のところに流れてくるようにすることで、「リツイートする」とはその人のツイートをそのまま自分のフォロワー(自分をフォローしている人)に向けて発信すること)。見た人に「商品券が当たるかもしれない」と思わせリツイートさせることで、さらにその商品の情報が広まりますし、自社のアカウントをフォローさせればその後の広告も見てもらえます。まさに一石二鳥の手法です。
また、飲食店などを紹介するサイトに「LINEで友達に教える」や「Twitterでつぶやく」というボタンがあるのを見たことがある方もいらっしゃるかと思います。ユーザーはそのボタンからLINEやTwitterを使って店舗の情報を共有することができます。「次の飲み会はこのお店でしよう」とか「このお店は良かった」と知らせたいとき、「こういう名前のお店で、この場所にあって、こんなメニューがあった」という内容を書く手間が省けるので容易に店舗情報を共有することができるようになります。
このように、インセンティブ(割引やプレゼントなどの報奨のこと)を使ったり、情報を共有しやすい機能をつけて情報を発信しやすくしたりすることで口コミを意図的に広める手法がバイラルマーケティングです。これらの例だけ聞くと、「ユーザーはインセンティブを得られるし、情報を共有しやすくなる。企業にしてみれば低コストで情報を周知できるし、バイラルマーケティングは非常に良い手法だ」と思うかもしれません。しかし、何事も表と裏があるというもの。バイラルマーケティングにも裏の面があるのです。
3 バイラルマーケティングの裏事情
以前、アメリカのある企業がバイラルマーケティングの手法を用いてキャンペーンを行いました。内容は「紹介メールを一定件数送ると商品が割引になる」というもので、多くの人々がこれを利用し、キャンペーンは成功を収めました。ところが、割引にしてもらいたいがために無差別にメールを送る人がおり、送られた人が知らない人から届いた紹介メールをスパムメールだと勘違いしたことからトラブルになってしまったのです。
このような過度の情報拡散がより深刻なトラブルに発展すれば対処のための費用がかかります。それではバイラルマーケティングの利点が失われてしまいますし、企業イメージの悪化にもつながりかねません。
4 これからのバイラルマーケティング
ここまでで、バイラルマーケティングという手法には低コストで効率的に情報を周知できるという利点に対して、情報の拡散については制御できないという欠点があるということを見てきました。ここでは、バイラルマーケティングの可能性について考えてみましょう。
何より注目すべき点は、誰でも利用でき、費用が抑えられるという点です。再びTwitterの例になりますが、Twitterは基本的に商用で利用することが許可されています。どういうことかと言うと、Twitterで自身が経営する店舗の情報を載せたり、キャンペーンなどの告知をしたりしてもよいということです。Twitterは登録も無料ですから、広告にTwitterを使うだけであればお金は全くかかりません。これは、広告のために多大な費用をかけることができない個人事業主にとって、大きなチャンスであると言えます。
5 まとめ
現在、TwitterなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)の普及率は60%を越えており、その人数は約6000万人にも上るという調査結果が出ています(※ICT総研調べ http://www.ictr.co.jp/report/20140821000067.html)。SNS普及率はこれからも増加する見込みで、それに伴ってバイラルマーケティングの対象者も増加すると考えられます。低コストで利用でき、ヒットすれば絶大な効果をもたらすバイラルマーケティングという手法は、話題性を求める大企業の助けとなるだけではなく、膨大な広告費用のために今まで表に出てこなかったヒット商品を世に出していくきっかけになるかもしれません。
- 関連サービス
-
Webマーケティング
詳しく見る